人間好きなものと嫌いなものとがあります。
彼女はしいたけは嫌いだけど、ナスは好き。
彼はナスは嫌いだけど、しいたけは好き。
そんなの人それぞれ。
誰一人として同じ人間はいません。
一卵性双生児だって、趣味嗜好が合致するわけではないのですから。
まず、先に断りますが別に否定しているわけではないということ、そしてオールデンが大好きな人にはちょっとがっかりする内容になるかもしれません。
それをご理解いただいたうえで、先に読み進めていただければと思います。
今回はAlden(オールデン)の靴について、お話していきたいと思います。
目次
オールデンの靴の特徴①ラスト
オールデンの特徴といえば、ひとつひとつのラストが特徴的というところでしょう。
モディファイドラスト、バリーラスト、アバディーンラスト、ヴァンラスト、トゥルーバランスラストなど、靴が好きな方はどこかの雑誌で必ず見かけたことがあるはずです。
特にモディファイドラストはオールデンの代名詞的存在です。土踏まずが絞り込まれ、絞り込まれた部分から甲革がせりがっていくので土踏まずの部分は盛り上がっており、アーチサポートシューズとしての役割を持っています。
簡単に言えば、矯正用の靴ですね。ヒールもフットバランスヒールというものが使われており、足の均整回復を意識しているところがよくわかります。
そのため、一度履くとやみつきになるというのが人気の秘密のようです。
とにかく、毎月雑誌を開いて、このモディファイドラストがどの雑誌にも載っていない、という月はまずなく、特に2ndやBeginあたりはオールデンの靴はしょっちゅう紹介されています。
他に有名なラストは数々ありますが、インディーブーツで使われているトゥルーバランスラストもここ最近、インディーブーツのおかげかちょこちょこと「トゥルーバランスラスト」の名前をみかけるようになりました。
|
インディーブーツの名前の由来は、あのインディージョーンズが実際に劇中で使用したことにあるんです。
オールデンの特徴② コードバン
オールデンがここまで人気なのにはもうひとつ理由があります。
それはホーウィン社の稀少なシェルコードバンを使ったモデルが豊富というところ。
コードバンとは馬の臀部からしか取れないという非常に貴重な革です。
その光沢感と経年変化の美しさはカーフレザーには出せないものがあります。
特に光沢感という点では、まるでガラス革のようにピカピカに光らせることができるのです。
オールデン=コードバンといっても過言ではないほど、オールデンとコードバンの結びつきは深いのです。
その昔、ホーウィン社が倒産寸前の際に、オールデンがホーウィン社の革を大量に購入して、ホーウィン社を助けたという話はマニアの間ではいまだに語り草になっています。
中国製のラバー
さて、ここからが今回お話したかったことです。
どんなメーカーにも弱点はあるものです。
イタリア靴は柔らかい分だけ経年劣化が早かったりします。
イタリア靴やスペイン製の靴はヒールを積み上げているリフトと呼ばれるパーツも、革ではなく、ナンポウという革と紙を混ぜて作ったものを使っていることが多々あります。
オールデンのリフトはこのナンポウを使っており、何となく安っぽい感じがしてなりません。グッドイヤーウェルト製法発祥の国としての威厳はないのか?とちょっと申したくなります。
まあ、そういう粗は探せばいくらでも見つけることができるわけです。
実際現行のジョンロブでも粗は必ずあります。
まあ、どんな靴でもつきものということですね。
しかし、どうなんだこのパーツは?
オール電が好きな人はこのトップリフトを見ただけでお分かりでしょうが、まさしくこれはオールデンのトップリフトです。
ここは消費者にはばれないだろうと、堂々と中国製のトップリフトパーツを使っているのは、、、
私はこのリフトを見て複雑な気持ちになってしまいました。
実際オールデンの靴で珍重されているのは、コードバンくらいで、スムースレザーはたまに驚くほど安く売られていたりするのもこの複雑な気持ちに拍車をかけます。
アメリカの靴でもっとこだわりが細部に詰まっているブランドはないのか?となると、これがありません。
現在アメリカ製の靴はオールデンとアレンエドモンズ、そしてジョンストン&マーフィーの一部ほど。
そう、たった3ブランドしか残っていないんですね。
かつてはアメリカにもボストニアン、ネトルトン、フローシャイム、ナンブッシュ、ハノーバーなど数多くの優良メーカーがありましたが、その多くが歴史の中に消えていったか、現在では当時の面影を全く残さない安靴を大量生産するメーカーへと変貌してしまいました。
これじゃあ比べようもありません。
確かにオールデンの靴は魅力的
比べようがない、ということはある種唯一無二といえなくもありません。
オールデンの大らかな雰囲気は、決してイギリス靴、イタリア靴、スペイン靴、フランス靴、ドイツ靴、北欧の靴、日本の靴、いずれのものにもない独特の雰囲気があります。
ちょっと荒々しい作りがいかにもアメリカの靴っぽい、というところが人気の理由でしょうか。
それから、これは具体的な話ではなく、抽象的になってしまい申し訳ないのですが、個人的にはホーウィン社のコードバンを使った靴といったら、まずはオールデン!といえるほど、オールデンとホーウィンコードバンの親和性は高いのです。
他のメーカーがホーウィンのコードバンの靴を使っていても、なんとなく雰囲気が違うなぁ?となることもしばしばあります。あくまで個人的感想ですが。
この唯一無二というのがオールデン最大の強みなのかな、と思っている次第です。
最後まで読んでいただきありがとうございます。