今回は昨日のクールビズの話題にも絡みます。
ここのところの気温の上昇は激しく、東京・大阪などの大都市圏ではビル熱によるヒートアイランド現象によって、それはそれは激しい暑さになるのです。
昔聞いていて面白かった極論がありました。
お食事の席だったのですが、アスファルト舗装を無くして、昔のように土の道に戻せばいいという人がいたんですね。
なるほど確かにアスファルトでなくすれば、体感温度はぐっと下がるに違いないでしょうが、江戸時代は砂塵の健康被害というのが、酷かったようです。それから我々の身を守るのがアスファルト。
人間あっちを立てれば、こっちが立たず。中庸の道というのは険しいですね。
ちなみに中庸というのは、「過不足なく偏りのないこと」です。
決してフィフティーフィフティーを取ればいいというわけでなく、その時々でバランスを取るのが中庸のようです。ちょっと難しいですね。
この中庸を最上の徳として捉えていた、孔子は論語で「民に少なくなって久しい」と言っているわけです。
紀元前500年ほどに生きた人間が「民に少なくなって久しい」なんて言ってるんじゃ、2018年はどうなんじゃい!とも思えますが…(笑)
人間の本質は変わっていないことがよくわかる一節です。
さて、今回紹介する靴は、「中庸」という意味で捉えると輝けライフ!的には中庸からややずれた靴に分類されると思われる靴を紹介します。
それはダブルモンク!
スーツを着ていたら汗だく、というかTシャツでも暑いという中、実際の機能面だけでなく見た目も涼やかにしたいときに、モンクストラップという靴はかっちりとしながらも、若干軽やかに見せることができます。
ダブルモンクの靴は、実際は生まれてから、年月があまり経っていない靴なのです(詳しくは後述)。
ダブルモンクの元祖といえば、John Lobb(ジョン・ロブ)のWilliam(ウィリアム)です。
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全てのダブルモンクはこの靴から始まったのです。
今回はこのダブルモンクのマスターピース、William(ウィリアム)を紹介していきます。
目次
ダブルモンクの起源とは
まずWilliam(ウィリアム)の話をする前に、ダブルモンクストラップの靴の起源についてお話していきましょう。
そもそもモンクストラップの「モンク」とは修道僧に由来します。
15世紀のアルプス地方の修道僧(モンク)らが履いた靴が起源とされるモンクストラップシューズはいわゆるシングルモンクストラップシューズへと姿を固定かしていったのです。
一方ダブルモンクシューズはというと、1945年に2代目当主のウィリアム・ロブが製作を行ったビスポークからこのデザインは完成したのです。
もともとは稀代の洒落者、ウィンザー公こと英国王エドワード8世のためにウィリアム・ロブが製作したものでした。同公たっての希望から、飛行士の靴、すなわちアビエイターブーツをヒントにロブ氏が編み出したのが、甲サドルにバックル付きのストラップ2本を配するという、当時のドレスシューズでは考えられない斬新なデザインだったのです。
何でもそうですが、その道の元祖から放たれるオーラは他の追随を許しません。
なお、初めのウィリアムはブーツだったため、その原型も、既製品で展開しています。
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そして、これをマスターピースとし、1982年にレディメイド化したのが、モデル名が同氏のファーストネームに由来する名靴「ウィリアム」であるのです。
というわけなので、シングルモンクとダブルモンクは同じ「モンク」という名称はついてますが、その出自は全く異なる靴なのです。
John Lobb William(ウィリアム)
ジョン・ロブのウィリアムは正真正銘のマスターピースシューズということはお分かりいただけたかと思います。本当に素晴らしい靴なんですね。
今回紹介するのは短靴の方のウィリアムです。厳密にはウィリアムⅡというモデルネームになります。
厳密な「ウィリアム」は先ほど紹介した元祖タイプのブーツ型です。
普通ジョンロブのウィリアムといえば、この短靴タイプを連想する方がほとんどのはずなので、このサイトでも便宜上この短靴タイプをウィリアムと呼びます。
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このウィリアムに使われているラストは、ラスト9795という、がっちりしたフォルムのラストを採用しています。
ジョン・ロブの既製靴は、本来のジョン・ロブとはあまり関係がなく、既製靴はエルメスが親会社としてやっている「ジョン・ロブ パリ」が携わっているため、イギリス靴らしからぬドレッシーでエレガントなスタイルを得意としています。
しかし、このウィリアムに使われているラスト9795はブリティッシュクラシックを想わせる、丸みのある形状になっています。
トウキャップは破綻のない正確なピッチをダブルステッチで縫い込んであり、これにより重厚感が出てきます。
足入れした感じは、カカトがやや浅く、コルクが沈み込んで返りが付いてきたときにぴったりと収まるといった印象。サイズも普段UK8.0 を履いている方なら問題なく8.0で履ける、表記通りの普通のサイズ感です。
革はさすがにぴか一で、既製品の中でも最高の革を選び抜いて作っています。
分厚く、かつしなやかで柔らかい。履けば履くほど馴染みが出るのですが、耐久性もずばぬけています。
ジョン・ロブは製造の段階で優良な革の中から、見た目の美しさを保つために、血筋などが入った部分は捨ててしまうのです。世界最高峰の革の中でも、さらにトリミングして作っているのです。なんと60%から70%は捨ててしまうそうです。
それだけしているから、この値段設定も納得です。
パラブーツにもウィリアムがある
ちなみに最初ジョン・ロブが既製靴として生まれた初期、「コテージライン」として、カジュアル用に作っていたウィリアムがありました。それはフランスの靴ブランド、パラブーツにOEM生産を依頼していました。パラブーツでもダブルモンクでウィリアムがあるってどういうことなの?と思っていた方もいらっしゃるかもしれませんが、実はこういった背景があったのです。
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このパラブーツのウィリアムは2001年より復刻され、現在ではパラブーツの人気アイテムとしてすっかりお馴染みになりました。
こちらもダブルモンクシューズの元祖といえそうです。
ダブルモンクシューズで軽快さを
ダブルモンクシューズはそのストラップによって、軽やかさがでます。
イタリアの人は手前のほうのバックルを外しっぱなしにして履くという着こなしもしています。ちょっとだらしはなく見えますが、抜け感も出ますし、こうなると完全にスリッポンとして使うことが出来るので、より楽になります。
こんなコンビのウィリアムになれば、ジョンロブながら、より爽やかで砕けた印象にもなります。
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ダブルモンクは決して奥深い歴史があるわけではありませんし、場によっては軽く見えることもあるかもしれません。
本来は捻った発想から生まれた靴なわけなので、そういう意味では中庸的ではないかもしれません。
しかし、そんなことはもはや形骸化され、すっかりビジネスシーンの定番となっていますから、ビジネスシーンに履く靴のローテーションにはグッと投入しやすくなっています。
絶対に紐靴じゃなければいけない場面というのも、ビジネスシーンにおいてはほとんどないでしょうから、こういう靴を持っていると着回しもしやすいでしょう。
これからのシーズン、ぜひダブルモンクシューズ、特にこの元祖のウィリアムで軽快に過ごしてみてはいかがでしょうか。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
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