靴好き・ファッション好きにとっても気が気でないイギリスのEU離脱問題。
関税の取り決めがなされないまま、EUを離脱なんてした日には、こういった衣料品の価格も爆上げになるかもしれないという恐怖があります。
そもそも服どころの騒ぎではない大問題なのですが…
さて、定点観測でチャーチのホームページをチェックするのが私の日常なのですが、ここのところ面白い動きがみられました。
目次
①TRIPLE SOLEがDOUBLE SOLEに
さらっと変わっておりましたが、結構重要な変わりようです。
ShannonやGraftonといった分厚いソールのコレクションは、最近まで「TRIPLE SOLE」というカテゴリーにカテゴライズされていました。
靴好きの方はすでにお気づきでしょうが、この「TRIPLE SOLE」何をもってトリプルソールなのかがわからなかったのです。
靴をふと見て、しげしげと見つめ、思い出したように見回しても、どこからどう見ても「ダブルソール」の作りでした。
それをなぜか「TRIPLE SOLE」という謳っていたので、ファンとしては困惑をしていたところですが、「DOUBLE SOLE」になっていました。
まさしくこれが正しい表記だと思うので、このままにしてほしいです。
②CH873の台頭とスニーカー全体数の減少
セレブリティ向けに誕生した「CH873」のスニーカー。創業年である1873年を意識しているだろうこのレトロな趣のスニーカーです。
CH873のスニーカーのカラーバリエーションがどかんと揃っています。定番は全11カラーのようです。ところがスニーカ全体で見ると、シャノンをスニーカー的に解釈したとかいうミルフィールドのカラーバリエーションがあるくらいで、モデル数は4モデル程度とグッと少なくなっていることに気が付きます。
③往年の名作の復活
何度か当サイトで紹介した、ラスト73と同様に旧来のチャーチファンを魅了するラスト84。
エッグトウと短めの捨て寸がいかにも昔懐かしいイギリス靴といった風貌です。
このラスト84を使った名作といえば、Barcroft(バークロフト)です。
チャーチでは珍しいパンチドキャップトウのデザインで、昔からバインダーカーフが採用されている実用靴です。
こちらが本国のホームページで復活しています。伊勢丹新宿が15周年記念で出したのが記憶に新しいですが、伊勢丹のためだけにバークロフトを出したわけではないのでしょう。
一週間に5000足作っている工場のラインを、伊勢丹から発注される微々たる量(全体で見ると)のためだけに気を回すなんて言うことは考えにくいのです。
しかも皮肉なことに、チラホラとこのバークロフトを本国ホームページでみると完売しているサイズがあるんですね。
チャーチはモードに振り切りたいはずだったのに、こういう靴が売れるのはチャーチはどのような気持ちでいるんでしょうか…。
やはり世界中でこういった王道の靴を求める傾向というのは強いようです。
さらにもうひとつ。ラスト73を使ったモデルで、一部熱烈なファンがいるPiccadilly(ピカデリー)
シングルモンクフルブローグというコテコテなイギリス靴です。
これがラスト173にバージョンアップして復刻。革は当時主にピカデリーに使われていたバインダーカーフではなく、通常のカーフになっているようです。
ラスト173なので、ちょっとドレッシーになっていました。
④本国ホームページから注文が可能になった
前は出来なかったですが、本国ホームページから通販できるようになりました。
私は試していないですが、恐らく表参道の直営店でピックアップできるようにもなっているようです。ようやくかよ、と言いたいところですがメチャクチャ大きな進歩なので、ファンとしてはありがたいかぎりです。
靴に詳しい人がお偉いさんに就任したのかな?
100年以上前から存在する靴のメーカーなのに、トリプルソールといってみたり、わけのわからないデザイナーシューズを出していたチャーチですが、ここのところ急激に往年のファンの心をくすぐるモデルを出してきたり、きちんとダブルソールに戻したりと、「まともな」行動をとっています。
ここからは私の邪推ですが、思うに、最近までのチャーチは靴のことなんてよく知らないデザイナーに振り回されていたのではないかと思ったりするのです。
それが内部で、本当にファンから求められている靴は何なんだ?と議論され始めたのではないでしょうか?
靴にデコレーションして、新しいモードな靴を作るのもいいけど、Church’sの本分はどこにあるのかと議論したのでは?
そして世界的なクラシック回帰の流れに乗り、きちんとドレスシューズの何たるかをわかっている人がお偉いさんに就任し、先ほど紹介した流れになっているのではないかと…。
モードなチャーチの方向性は崩れないでしょうが、旧来のファンにもきちんと目配せしないといけないとようやく気が付いてくれたのではないでしょうか。
あくまで邪推、妄想なのですが。
イギリス製のグッドイヤーウェルトは今後ますます貴重になっていくことでしょうから、メンズドレスシューズブランドの矜持を今ここで発揮してほしいと切に願います。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
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