うだるような暑さが日本列島を覆っています。
こんな時は服装が非常にだらしなくなるもの。
サンダルもいいですが、バチっと革の紐靴で引き締めて、大人の余裕満々で街を歩きたくなるのも必然だと思います。
夏に履く革靴といえば、ローファーやグルカサンダルが定番ですが、真夏だからこそ、真に履きたくなる靴といえば、ホワイトバックスに勝るものはないでしょう。
今回はこのホワイトバックスのシューズを紹介していきたいと思います!
目次
ホワイトバックスとは
ホワイトバックスとは、現代においては「ホワイトカラーの起毛素材全般の靴」といった認識になっています。
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夏の革靴の永遠の定番品であり、 オシャレな男には欠かせないアイテムです。
表革を起毛させたヌバックでも、裏革を起毛させたスエードでも、白い起毛の革であれば、ホワイトバックスと謳われて販売されています。
わざわざ「現代においては」と、前置きしたのには訳があります。
いつぞやにBuck Skinの靴についてとうとうと語ったことがありますが、これと同じことなんですね。
本来ホワイトバックスとは…
「White Buck Skin Shoes」の略称なんですね。
そして、Buckとは牡鹿のことを指し、本来のバックスキンとは、牡鹿の銀面を起毛させたものだけを言うのです。今は裏革の意味で、「Back Skin」と混同されてしまっていますが、そもそも「Back Skin」とは言わないので、完全な誤用なのです。
ですから、本来は牡鹿の銀面を起毛させたホワイトカラーのものでなければ、ホワイトバックスとは言えないのですが…。
そうも言っていられないのが現状です。
現在は、鹿の革を鞣すタンナーも少なくなり、昔のように鹿の革をわざわざ使うことも用意する手間もあり、高価ということもあって非常に珍しい素材となってしまいました。
牛と比べ、鹿の革は縮みが出やすく、また生きていた時についた傷が革のいたるところにあるために、生産者としても非常に扱いにくいという点もバックスキンの靴が珍しくなってしまった要因でもあります。
そもそもバックスキンが手に入りにくいないために、新たに開発されたのがNew Buck=ヌバックなので、ここ最近起きはじめた問題ではありません。割と昔からバックスキンは希少で高価なものだったのです。
実際今では、ホワイトバックスのほとんどが牛革で作られているのが現状です。
ホワイトバックスの歴史
ホワイトバックスは、19世紀後半にイギリスのオックスフォード大学の学生達が、スポーツ観戦の際に履いていた白い短靴に起源を持ちます。
なので、スペクテイターシューズの一種とも考えられます。今スペクテイターシューズというと、茶×白や黒×白といったコンビシューズのことをいいますが。
このホワイトバックスは、海兵隊のスポーツシューズとして広まっていきます。その後アメリカに渡り、1920年代には、洒落者達のリゾートスタイルの足元に採用され、アイビーにも広く認知されていくのです。
ホワイトバックスはWALK OVERが有名です
今はUSA製ではなくなってしまった(悲しい)アメリカのWALK OVERというブランドはこのホワイトバックスの名手でした。
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今もUSA製ではなくなってしまいましたが、WALK OVERはホワイトバックスの靴を作っています。
なぜ、WALK OVERはホワイトバックスの名手と言われるのか?それには二つの理由があります。
アンツーカーレッドソール
ホワイトバックスといえば、アンツーカーレッドというラバーソールが付き物です。
その昔、ホワイトバックスの靴を履いたテニスの観客たちがこのレンガ色のソールを生み出しました。
その当時、テニスコートと観客席は、クレイコートの一種である赤煉瓦などを粉砕して造られた赤褐色のコート=アンツーカーコートになっていました。
そして、あまりに汚れるので、底回りをレンガ色にしたというわけです。
WALK OVERをはじめとして、オールデンなどアメリカ靴は今もホワイトバックスにアンツーカーレッドソールを使用していることが多いです。
Dirty Bucks
そしてWALK OVERといえば、Dirty Bucks=ダーティーバックスです。
これは真っ白のホワイトバックスを履いていることに恥ずかしさを覚えた学生たちが、気恥ずかしさから、わざとベージュカラーになるようにホコリをつけて汚したことにあります。
ホワイトバックスが汚れてダーティーバックス。
汚れるとわかっているなら、最初から汚れた風の物を作ってしまえということなのでしょう。
これはこれでまた一味あって面白いです。
ホワイトバックスは汚れを気にせずに履いてこそ男
ただし、わざわざダーティーバックスというジャンルの靴が生まれるほどに、ホワイトバックスの靴はどうあっても汚れてしまうのです。
また、白の染料というものはないために、顔料で白く塗り込んでいるのがホワイトバックの革の成り立ちです。
簡単に言えば、ペンキで塗りつぶしているようなものですね。
だから履かなくても放っておけば、色あせて黄ばんだりしてきてしまうものなんです。
何もしなくても汚れるものであれば、ガンガン履き込んでやったほうがカッコいいと思います。
コーディネート例
ホワイトバックスの靴は履くのに気恥ずかしさを感じたりする人もいるそうですが、それは新品で汚れもないためです。
とにかく履いて自分色に染め上げていきましょう。多少くすみが出始めるくらいでちょうどいいのです。
シンプルにリネン100%のキャンプカラーシャツ
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ポロシャツ
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などといったものに、チノパンやリネンのパンツに合わせればそれで完了です。
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夏に革靴を履くだけでもなかなかに洒落ているのに、ホワイトバックスを履けば、完全にお洒落さん!
リネンなど涼感を感じさせるものと合わせるのがポイントですね。
個人的にはスポーツ観戦にきていた当時の上流層の人間が履いていた靴なので、Tシャツのようなものは合わせるのはナンセンスだと思います。
襟付きのパリッとしたシャツを合わせることで、より「らしさ」も出ますし、着る人のパーソナリティーをグッと上品な雰囲気に仕立て上げることができるのです。
夏はお洒落をするのが難しいからこそ、全力でお洒落を決め込む。
こんな楽しいことはありません。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
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