そろそろ春夏の新作が入荷してくるシーズンですね。
靴に関してはいったいどんなものがトレンドとして出てくるのでしょうか。
去年はシングルモンクシューズがメインで打ち出しているところもチラホラと見かけました。
シングルモンクシューズの良いところは、ダブルモンクストラップシューズほど、色気を前面に出さないところです。つまりミニマルでストイックな靴に近くなります。
そもそもシングルモンクシューズの出自は非常に正統的で、その名のとおりMonk=僧侶が履いていた靴になります。
ダブルモンクストラップシューズはジョンロブで1940年代にビスポークした靴が出自とされているので、歴史はそんなに深くないですし、バックボーンの重みにかける部分があります。
さて、ここで気になるのが「ミニマルでストイック」というワードです。
具体的に言えば、スーツは無地のもの、シャツも柄物ではなくポプリンのような極めて正当な素材、ネクタイもペイズリーのような派手なものはしないで、むしろ全く逆の無地。靴も黒。というような装いです。
柄物も少なく、派手な意匠もなく、極力目立たないようにしたスタイルです。
非常にシンプルになるため、着こなしで邪魔することなく、その装いをしている人のパーソナルな部分を強く引き出します。
服装が目立つのではなく、その人の個性がより活かされるようなスーツなのです。
非常に力強い着こなしにはなりますが、自分の内面に自信がないと、野暮ったく見えたり、ただ地味な服を着ているだけに見えるため、「着こなし」というよりも己の内面に磨きをかけた人がするべきスタイルなのかもしれません。
ただ、その強い自分を作りだそうと憧れる人は決して少なくなく、あえてこだわって控えめな服装にこだわる人も多いのではないでしょうか。
そこで、登場するのがプレーントウダービーシューズです。
ごく当たり前のスタイルの靴で、基本中の基本といえます。
全く派手な雰囲気もないですから、ミニマルでストイックな装いには欠かせない靴です。
黒であれば、冠婚葬祭に問題なく使用することができるため、非常に使い勝手の良い靴です。
ただし、カッコいいプレーントウダービーを見つけるのはとても難しいといえます。
なぜならば、ラストの形状、羽根のバランスなどが完璧に決まらないと全くかっこよく見えないのが、プレーントウダービーシューズの特徴だからです。
当サイトを日頃ご覧になられている方は、「なんでプレーントウダービーなの?」と思われるかもしれません。
恐らく、普段街中で履いている人の多くが、プレーントウダービーシューズを履いているからでしょう。そしてほぼ9割以上が安価なプレーントウダービーシューズを履いているのです。安価でこだわりのないプレーントウダービーシューズほど、見た目にみっともないものはありません。
だからこそ、あえてこだわりまくったプレーントウダービーシューズを履くのが粋なのではないでしょうか。
今回はクロケット&ジョーンズのAINTREE3(エイントリー3)を紹介します。
クロケット&ジョーンズ AINTREE3(エイントリー3)
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クロケット&ジョーンズのAINTREE(エイントリー3)は3アイレットのVフロントプレーントウダービーシューズです。ハンドグレードラインによって作られているため、素材は最高級のカーフ。
底もオークバークのレザーソールとなっています。
このエイントリー3に使用されているラストはラスト373です。
オードリー5にも使用されている少々珍しいラストですね。
スクエア&チゼルトウで、クロケット&ジョーンズの中でも小ぶりなヒールカップになっています。内振りにシェイプしたフォルムなので履きやすさもあります。
プレーントウの強みである、ノーズが長く見えることを、非常に良いバランスで引き立てています。
羽根の位置などがずれると、やたら長く見えるだけの靴になってしまったりするので、このバランスのうまさが流石クロケット&ジョーンズというところでしょう。
Vフロントとは、羽根の切り返しの形状を指します。
上の画像をご覧ください。土踏まずの部分から伸びた羽根は、甲の部分で折り返されています。この折り返されたところがV字状になっていることから、Vフロントといいます。
このVフロントプレーントウダービーは、通常3アイレットか2アイレットのものが多いです。イギリス靴ではおなじみの形なのですが、アメリカ靴になるとなぜかあまり見かけくなる靴になります。つまりは非常に英国的なデザインということです。
プレーントウダービーシューズをここまで詳細まで考えている人などこの世にいるのでしょうか…?ここにいますね(笑)
外羽根のプレーントウなので、ストレートチップよりも柔らかい印象になりますので、ジャケパンスタイルにも合わせやすいという面もあります。
この春から、心機一転、こだわりのあるストイックな靴をお求めになってみてはいかがでしょうか。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
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