イタリア靴ブランドの紹介をしていると、その紹介もとまりません。
ちょっとあのブランドを落とし込んでみようか?と思うと、そういえばこんなエピソードもあるな?こんなエピソードもあったっけな。
と、いった具合でまだまだ輝けライフ!のネタは尽きるところを知りません。
さて、今回はセレクトショップでも展開されている人気イタリア靴ブランド、
Enzo Bonafe(エンツォ・ボナフェ)
を紹介していきます!
目次
Enzo Bonafe(エンツォ・ボナフェ)の歴史
Enzo Bonafe(エンツォ・ボナフェ)はブランドを立ち上げた、その人の名前を冠したブランドです。
14歳頃から靴作りを始めた彼は、イタリアの歴史ある老舗、a.testoni(ア・テストーニ)で15年間修行を積んだ後、妻グエリーニや職人達の助けもあって、家族とわずか10名程度の職人で、1963年自身の名前を付けた「エンツォ・ボナフェ」というブランドをボローニャでスタートさせます。
今日においても、妻と彼らの子供達シルビアとマッシモ、さらには義理の息子ロベルトの助けを借りて、少数精鋭でエンツォ・ボナフェ氏が会社を率いています。
小規模なので1日に生産できる靴は25足~30足程ですが、その分最高級のクオリティを持っているのが特徴です。
彼が少人数で効率がいいとは言えない環境の中、それでも少数精鋭にこだわるのは、靴の品質に対する強いこだわりがあるからです。
そのこだわりこそ
fatto a mano(ファット・ア・マーノ)
という言葉に凝縮されています。
ファット・ア・マーノ、つまりイタリア語で「手作り」の意味を持つこの言葉にこだわりながら靴作りをしているのです。
歴史は浅いメーカーですが、エンツォ・ボナフェの顧客には各国のVIPが名を連ねています。
かつてのローマ法王ヨハネ・パウロ2世も愛用者の1人でした。
1986年にはイタリア共和制40周年の式典において、イタリアの文化振興に寄与した企業として称えられ、大統領から表彰されたことからも、その実力がうかがえます。
イタリア製の靴として自信をもってイタリアから送り出されているのがエンツォ・ボナフェなのです。
エンツォ・ボナフェのこだわりは製法にあり
このブランドの特徴は、ファット・ア・マーノに恥じない、品質に対する強いこだわりから生まれるその製法にあると言えるでしょう。
ほとんどが言葉通り手作業を加えて作っています。
出し縫いだけ機械縫いをし、他はすべて手縫いのハンドソーンウェルト製法
最近では日本のオリエンタルシューズが展開するものと同じ、2C(ドゥーチェ)製法というソールの前半部分はグッドイヤーウェルテッド製法、土踏まずのウエスト部分をマッケイ製法にしたハイブリッド的製法のものなど、どれもひと手間もふた手間も手作業を作れないものばかりです。
オリエンタルのグッドイヤー・マッケイ製法のコレクションもここから着想を得ているのでしょう。(オリエンタルはエンツォ・ボナフェの輸入代理店ですからね)
ハンドソーンウェルトによって作られた靴は特に軽くと反りの良さがあり、長時間の使用でも足が疲れにくい履き心地の良さを実現します。
エンツォ・ボナフェこそ元祖ビットローファーなのです
エンツォ・ボナフェの手作業を頼るメーカーは多く、結果としてエンツォ・ボナフェは自社ブランドだけでなく、OEMなども一部手掛けています。
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特に、エンツォ・ボナフェはグッチの下請けをしていたことが著名です。
グッチといえば、特にビットローファーが有名ですが、初めてビットローファーを作ったのは実はエンツォ・ボナフェなのです。
グッチ最初のビットローファーはフレッド・アステアに納められたそうで、フレッド・アステアに靴を履かせているエンツォ・ボナフェ氏の写真がいまだに残されているそうですよ。
イタリア靴ですがデザインはオーソドックス
イタリア靴ですが、そのデザインはオーソドックスなものが多いのがエンツォ・ボナフェの特徴です。
イタリア靴にありがちな奇抜なデザインと奇抜な色の靴というものはほとんどなく、素材そのものの良さを引き出した靴がほとんどです。
素材の組み合わせや、さりげない変化で大きな違いをつけるのが得意なブランドといえます。
たとえば、この内羽根のクオーターブローグ。
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一見するとイギリス靴的なフォルムですが、アデレード型になっているパーフォレーションは、カカトの真ん中のほうへと流れていく、イギリス靴ではまずお目にかかれない、若干の捻りを加えた靴になっています。
それといって、嫌な雰囲気など全くなく上品なディテールを保っています。
このバランス感覚こそエンツォ・ボナフェの真骨頂です。
流行に左右されることもなく、いつでも新鮮に履くことが出来ます。
同価格帯の靴の中では手が込んだ靴といえます
輝けライフ!が見て感じるエンツォ・ボナフェの靴は、同価格帯の靴を比べてみても、非常に手が込んでいるということです。
例えばイタリア靴には同じ価格帯にサントーニの靴もありますが、製法だけで見ればエンツォ・ボナフェの靴の方がずっと手が込んだものが多いです。
また、エドワード・グリーンの靴なんかと比べても、機械式ではなく、ほとんどを手作業で作られているだけに足への馴染みの良さはエンツォ・ボナフェの靴の方があるかもしれません。
履き心地はとにかく柔らかいのですが、クッション性もあるので疲れにくいところに職人の技術の高さを感じて取れます。
ただしそれは「エンツォ・ボナフェが同価格帯の靴と比べて良い」、ということではありません。
やはり耐久性の面でいえばイギリス靴の方があるでしょうし、ハンドパティーヌの良さとデザインの独創性が高次元でまとまっているのはサントーニの靴の方が自分に気に入ったものを見つけやすいかも知れません。
どのブランドにもそれぞれ魅力があります。
エンツォ・ボナフェはこの価格帯で納得できる確かなものを作っていることは間違いありません!
最後まで読んでいただきありがとうございます。